リレー連載第7回 白鳥ことり役/伊藤彩沙
――最初に原作に触れたときの印象はいかがでしたか?
伊藤 とても心温まる作品だと思いました。大正時代って、今と比べていろいろな制約があったと思うんです。でも、珠彦さまとユヅちゃん(夕月)は大きな壁を前にしながらも、手を取り合って困難を乗り越えようとする。その姿に励まされました。
2人の恋愛模様も素敵で、奥ゆかしいやりとりにドキドキしました。一族のしがらみを始めとする時代特有のドラマも描かれていて、いろいろな見方ができるところが魅力だと感じました。
――伊藤さん演じる白鳥ことりはどんな女の子ですか?
伊藤 ことりちゃんは当時の最先端を行く人気歌手です。ギターを片手に各地を回り、日本語だけでなく、英語でも弾き語りをするような女の子で、髪型もアシンメトリー。ハイカラですよね!女性が意志をもって活動する姿は、作中のファンの子たちに大きな刺激を与えているんだろうなと思います。
――実際、夕月が影響を受けていますよね。
伊藤 ユヅちゃんを見ていると、ことりちゃんの影響力の凄さが分かりますよね。
――伊藤さんもキャラクターソングを歌われたり、楽器を演奏したりしていますよね。共通点も多いのでは?
伊藤 そうですね!ことりちゃんの音楽に恋する気持ち、私もとても共感します。音楽でみんなに元気になってほしいと考えることりちゃんを見て、私自身も元気と希望を貰いました。
それから私もことりちゃんも京都出身なんです。京都出身のキャラクターっておっとりしたイメージがあると思いますが、ことりちゃんはからっとしているので、はんなりというよりはハキハキと喋るように意識しました。
――役はオーディションだったんですか?
伊藤 はい。ことりちゃんはセリフの他に、歌の審査もありました。課題曲は日本語版と英語版どちらも録ったので、曲とみっちり向き合った結果、今でもたまに口ずさむくらい思い出に残る曲になりました。
――実際のアフレコで何か印象的だったことはありますか?
伊藤 ことりちゃんの、みんなを魅了するパワーは凄いと感じました。表情がころころ変わるのが演じていて楽しかったです。アフレコでは、原作で見ていたキャラクターの皆さんと会話できる喜びを嚙み締めていました!
――ことりは劇中歌もたくさんあるそうですね。
伊藤 ことりちゃんのオリジナル曲と、アフレコ現場で歌った英語の民謡があります。ここまでいろいろな曲を歌わせていただくのは初めてだったので、とても新鮮でした。ただ、英語の曲にしっかり向き合うのも初めてで……。かなり苦戦しました(笑)
――アフレコに向けて英語の練習はされたんですか?
伊藤 日本語訳と照らし合わせながら、英語の符割に慣れるため自分の声を録音しながら練習しました。思ったより大人な歌詞でびっくりしました(笑)
――では、珠彦と夕月の関係性については、どんな印象をお持ちですか?
伊藤 「キュン」が止まらないです! お互いがお互いを大切に思っているのに、恥じらいがあるからか、なかなか一歩を踏み出せないところが愛おしくて。どこか控えめな関係性が素敵だなと思いました。
――冒頭で伊藤さんがおっしゃっていたように、奥ゆかしさがありますよね。
伊藤 お互いを想うからこそ、手を繋ぐにしても悩んだりドキドキしたり…。でもいざというときはストレートに気持ちを伝えてくれる珠彦さまにキュンです!
――伊藤さんから見て、夕月はどんなところが魅力だと思いますか?
伊藤 家事ができて、優しくて、かわいくて……。もうすべてが魅力的です。みんなから愛されるのも納得ですし、私も身近にいてほしいなって思います。珠彦さまは本当に幸せ者です。
――ははは(笑)。ご自身の中に夕月っぽさみたいなものはありますか?
伊藤 ない、ですね……。悲しいくらいユヅちゃんっぽさがないので、ユヅちゃんに家事の弟子入りがしたいくらい(笑)。生活の知恵がたくさんあって、手際もよくて。あの生活力は見習いたいです。
――では、珠彦はいかがでしょうか?
伊藤 私、この作品で「ペシミスト(厭世家)」という言葉を初めて知ったんです。確かに珠彦さまはペシミストで最初は暗い印象があるんですが、実際はとてもピュアな人だと思いました。ユヅちゃんと出会ったことで少しずつ心の氷が溶けていって、ユヅちゃんを受け入れていく姿を見ると、本当は優しくて思いやりのある子なんだなって。だんだんと豊かな表情を見せてくれるので、きっと皆さんにも愛されると思います。
――そして、ことりには策という兄がいますが、彼の印象はいかがですか?
伊藤 明るくからっとした男の子です。ムードメーカー的なところがあって、それはことりちゃんとも共通しています。そして周りをよく見ている子。二人の間にも、いろいろなドラマがあるので注目していただけたら嬉しいです。
――ほかに気になるキャラクターはいますか?
伊藤 私は珠代さんに惹かれました。
――珠彦と珠子のお姉さんですね。
伊藤 珠彦さまの行く道を阻む存在なのですが、その悪役ぶりに衝撃受け、かえって魅力を感じました。
――ありがとうございます。では最後に、放送を楽しみにしている方へひと言いただけますか?
伊藤 珠彦さまとユヅちゃんの恋模様にキュンキュンしていただきつつ、二人を取り巻く時代背景や志磨家の問題からくる人間ドラマを堪能してください。大正オトメの世界にどっぷりハマっちゃうと思います♡
◆コラム
「大正オトメ御伽話」の魅力をひと言で表すと?
珠彦さんとユヅちゃんだけではなく、主要な登場人物みんなが自分以外の誰かに思いやりの気持ちを向けているんです。それが見ているこちらにもしっかり伝わってきて、温かい気持ちになりました。
衣装協力:学校法人清水学園 専門学校清水とき・きものアカデミア
( @shimizugakuen )
撮影場所:代官山鳳鳴館 https://instagram.com/homeikan/
インタビュー:岩倉 大輔